アロマと一般的な香水の違いは?アロマを使ったナチュラルフレグランスの作り方も解説

アロマと香水は、どちらも香りを楽しむものですが、心身の健康のために天然精油の香りを用いるアロマテラピーと、自己表現のひとつとして香りを身にまとう香水とは、成り立ちに違いがあります。最近では、天然精油で作られた香水の人気も高まっていることから、アロマテラピーとの違いがわからないという方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、アロマと一般的な香水の違いや、天然精油を使ったナチュラルフレグランスの作り方などについて解説します。

アロマと一般的な香水の違い

「アロマ」と「香水」は、どちらも香りを楽しむものですが、成分や目的、使用方法に大きな違いがあります。


まず「アロマ」について整理しておきましょう。「アロマ」とは本来「芳香(良い香り)」を意味する言葉です。アロマテラピーで使用される「精油(エッセンシャルオイル)」は、植物の香り成分を凝縮した天然のエッセンス。花はもちろん葉や果皮、根、樹脂(樹液が固まったもの)などから抽出されます。フレグランスとしてそのまま肌につけることはできず、無水エタノール(アルコール)などで必ず希釈してから使用します。


なお、「アロマオイル」という表現も見かけますが、これは人工的な香料なども混ざった芳香製品を指すことが多く、天然の精油とは別物です。この記事では「アロマ=精油(エッセンシャルオイル)の香り」として解説していきます。


一方、「香水」は主に自分を演出するための香りとして開発された製品です。一般的な香水には、人工的に合成した香料や、ムスクやシベットなどの動物性香料が使われています。香水は香料の濃度(賦香率)によって以下のように分類されます。

  • パルファン:15%~30%
  • オードパルファン:8%~15%
  • オードトワレ:4%~8%
  • オーデコロン:3%~5%


アロマと香水の主な違いを整理すると、下記の通りです。

アロマ(精油の香り)
※肌につけるフレグランスではありません
一般的な香水
原料植物から抽出した天然の精油(エッセンシャルオイル)合成香料や動物性香料を含む多様な原料
主な目的心身の健康や癒やし自己表現や魅力の演出
香りの特徴自然な香りで、やさしく穏やかに香るデザインされた香りで、持続的に香ることが多い
持続性・安定性天然成分のため香りの持続性や安定性の管理が難しい合成香料により香りの安定性や持続性が高い

近年、精油のみで調香した「ナチュラルフレグランス」も市販されています。精油には心身に働きかける効果があるため、香りそのものはもちろん、作用も考慮して作られていることが多いのが特徴です。


例えば、女性らしい魅力を引き出す香りとして、女性ホルモンに働きかけるといわれるローズやゼラニウムを中心にブレンドしたり、明るくチャーミングな自分でいるための香りとして、気持ちを前向きにしてくれるスイートオレンジやレモンを配合したり……。精油の持つ特性と香調をそれぞれ考えながら調香されているため、なりたい自分になるためのお守りフレグランスともいえます。


ナチュラルフレグランスは、強い香りが苦手な方でも使いやすく、自然の香りで自分自身を癒やしたい方にもおすすめです。

アロマを使ったナチュラルフレグランスの作り方

精油の原液は刺激が強いため、フレグランスとして肌につけて使う場合は希釈する必要があります。一般的な香水には香料の濃度別に種類があるのに対し、ナチュラルフレグランスは1%以下の濃度で作製します。

アロマのブレンド方法

ナチュラルフレグランスは、複数の精油をブレンドして作ります。下記の手順を参考に、好みの組み合わせを探してみましょう。

〈準備するもの〉

  • 精油各種
  • 試香紙(ムエット)
  • ビーカー(ガラス製容器)
  • 保存用の遮光瓶
  • 無水エタノールや植物油


〈方法〉

  1. ブレンドしたい精油を試香紙の先につけ、反対側に精油の名称を記入する
  2. 精油をつけた複数の試香紙を手に持ち、同時に嗅いでみる
  3. 試香紙を入れ替えて再度嗅いでみて、好みの組み合わせを探す
  4. 好みの組み合わせの精油を、1滴ずつビーカーに入れる
  5. メインにしたい香りの精油をもう1滴入れてみるなどして、理想の香りに近づける
  6. イメージ通りの香りになったら遮光瓶に移して保存する


香りが完成したら、ブレンドした精油を無水エタノールや植物油などで1%以下の濃度に希釈します。

ブレンドするアロマの選び方

精油にはさまざまな種類があり、香りの特徴によっていくつかの系統に分類されます。ナチュラルフレグランスを作るときには、香りの系統をチェックして、相性がよい精油を選ぶのがおすすめです。


香りの系統特徴精油
フローラルノート華やかさや甘さのある、花のような香りローズオットー、ゼラニウム、ネロリ
スパイシーノート刺激的な香辛料のある香りブラックペッパー
シトラスノートさわやかな柑橘系の香りスイートオレンジ、レモン、ベルガモット
ハーバル・アロマティックノート系ハーブ(薬草)や香草のナチュラルな香りラベンダー、ローズマリー、ユーカリ
ハーバル・ミンティノート清涼感があるミントのような香りペパーミント
バルサム・レジンノート濃厚な甘さと温かみのある樹脂のような香りフランキンセンス、ミルラ、ベンゾイン(レジノイド)
グリーンノート草や葉を揉んだときに感じるような、青臭さのある香りティートリー、ガルバナム、バイオレットリーフ(アブソリュート)
ウッディノート樹木の幹や葉など、木のような香りサンダルウッド、ベチバー、ジュニパーベリー
出典:公益社団法人 日本アロマ環境協会『AEAJ認定アロマブレンドデザイナー 公式テキスト』(2023年)


同じ系統の精油だけでなく、フローラルノートとシトラスノートなど系統が異なる精油でも相性がよいものがあるので、いろいろな組み合わせを試してみましょう。

また、精油はそれぞれ「ノート」も異なります。ノートとは香りが持続する長さのことで、下記の3タイプに分かれます。

・トップノート
嗅いだ瞬間、最初に立ち上がってくる香りです。構成する香り成分の揮発性が高いため、長い時間は持続しません。ブレンドされた香りの中では、第一印象を決める鍵となります。


・ミドルノート
トップノートの香りが弱まってから個性を主張する香りです。構成する香り成分の揮発性は中間で、ある程度の持続性を持つため、程よい強さが感じられるものが多く、花やスパイスの香りに代表されます。ブレンドされた香りの中では、中核を担う存在となります。


・ベースノート 
トップノート、ミドルノートの香りが去ってからも、静かに存在感を発揮する香りです。構成する香り成分の揮発性が低く持続性が高いため、ブレンドされた香りの中では、最も長く付き合う「残り香」となります。


時間の経過とともに香りが変わるのを楽しみたいなら、3つのノートの精油をバランスよくブレンドしましょう。

少しだけ香らせたいときは、トップノートに分類される精油を中心にするのがおすすめです。使い方やシーンに合わせて、ノートの組み合わせも考えてみましょう。


ナチュラルフレグランスの種類

ナチュラルフレグランスには、スプレー・ロールオン・練り香などの種類があります。それぞれの作り方は下記の通りです。


・スプレー(30ml容器の場合)

  1. 無水エタノール5mlにブレンドした精油を3~4滴溶かす
  2. 水を20ml入れてしっかり混ぜる
  3. スプレータイプの容器に入れる


・ロールオン(10ml容器の場合)

  1. 植物油10mlにブレンドした精油を1~2滴溶かす
  2. ロールオンタイプの容器に入れる


・練り香(30g容器の場合)

  1. 植物油20mlとミツロウ4gを合わせて湯煎で溶かす
  2. 粗熱が取れたらブレンドした精油を3~4滴入れてしっかり混ぜる
  3. クリーム用の容器に入れる


植物油は、化粧品として販売されているホホバ油やスイートアーモンド油などがおすすめです。ミツロウはアロマテラピー専門店やインターネットで購入できますよ。お好みの精油で、自分だけのナチュラルフレグランスを作ってみてはいかがでしょうか。

アロマをブレンドする際の注意点

アロマをブレンドしている画像

ナチュラルフレグランスを作る前に、精油の安全な使い方についてチェックしておきましょう。

肌に原液をつけない

精油は植物の香り成分を高濃度に含んでいます。原液のままでは刺激が強いので、直接肌につけないようにしましょう。


ブレンド中に肌についてしまったときは、大量の水でよく洗い流します。精油がついた部位に赤みや発疹などの症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

精油を飲用しない

日本において精油は「雑品」に分類されています。食品や医薬品ではないので、精油を飲むのは避けましょう。食べ物に入れたり、うがいに使ったりするのもおすすめできません。


もし精油が口に入ったり、誤って飲んだりしてしまった場合は、大量の水ですすぎましょう。子どもなどが飲み込んでしまったときは、無理に吐かせずに医療機関を受診してください。その際、飲み込んでしまった精油の瓶も持参しましょう。

精油を目に入れない

目は肌よりもデリケートな部位であるため、精油を目に入れるのもNGです。精油がついた手で目元に触れるのも避けましょう。


もし目に精油が入ってしまったときは、決して目をこすらず、大量の水で洗い流して、速やかに医療機関を受診してください。

引火に注意する

精油は引火性があります。キッチンなどで使う場合は、火が燃え移らないように注意しましょう。

保管場所に気をつける

精油を子どもやペットの手が届くところに置いておくと、誤飲などの事故が起こるリスクがあります。子どもやペットが触れない場所に保管するようにしましょう。

健康状態や体質などに配慮する

安全に楽しむために、健康状態や体質などに配慮しましょう。特に下記に該当する方は注意が必要です。

  • 子ども
  • 妊娠中や産後の方
  • 病気やアレルギーがある方
  • 高齢の方
  • 肌が弱い方
  • ペット


上記に当てはまらない方でも、精油を使用した後に違和感を覚えたり、異常が見られたりした場合はすぐに使用を止めましょう。

まとめ

ナチュラルフレグランスとは、天然香料である精油で作られたフレグランスのこと。一方、一般的な香水には、合成香料や動物性香料なども含まれています。

精油を使ったナチュラルフレグランスは、香りが自然で、心身への働きかけも期待できるのが特徴です。自分だけのオリジナルな香りを作って楽しむことができるので、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。

監修
アロマサイエンス研究所
監修
アロマサイエンス研究所

植物の持つチカラが、心や身体にどのように作用するのか、研究・調査によってその有用性を明らかにし、さらに多くの方にアロマテラピーの魅力を伝えていくため、公益社団法人 日本アロマ環境協会(AEAJ)が立ち上げた研究所。

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「sense of AROMA」は、公益社団法人 日本アロマ環境協会(AEAJ)が運営するWEBメディアです。
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