頭痛のときにおすすめのアロマ|日常生活で取り入れたいケア

精油の画像

現代人の多くが抱える不調のひとつが頭痛です。天候やストレス、生活習慣など原因はさまざまですが、日常生活に支障をきたすほどつらいと感じている方も多いでしょう。

市販の頭痛薬で対処するのが一般的ではあるものの、できれば薬に頼らずに和らげたい……そんな方に注目されているのがアロマテラピーです。

今回は、頭痛におすすめのアロマや、手軽に取り入れられる活用法を紹介します。植物の香りに包まれながら、心と身体をいたわるケアを始めてみませんか?

頭痛とアロマテラピーの関係

頭痛は年齢や性別を問わず多くの人が悩まされており、日本では約4,000万人が頭痛の症状をもっているといわれています。

痛みそのものはもちろん、不眠や気分の落ち込み、集中力の低下など、日常生活にさまざまな支障をきたすケースもあります。

頭痛は大きく分けて「緊張型頭痛」と「片頭痛」の2タイプがあるとされています。


・緊張型頭痛
頭を締めつけられるような痛みが特徴で、30分から1週間ほど続くことがあります。不安などの精神的ストレス、長時間の無理な姿勢による目の疲れ・肩こりなどの身体的ストレスによって筋肉が緊張することが原因と考えられています。


・片頭痛
こめかみを中心に、ズキズキと脈打つような強い痛みが数時間から数日続くのが特徴です。吐き気や嘔吐を伴うこともあり、動けないほどつらく感じる人もいます。発作が起こると、光・音・においに敏感になるなど、感覚が過敏になる傾向も見られます。

こうした頭痛に対処するには、ストレスの軽減や生活習慣の見直しが欠かせません。そこで注目されているのが、香りの力で心身にアプローチする「アロマテラピー」です。

香りの成分は鼻から脳へ信号として伝わり、自律神経や感情を司る脳の領域にダイレクトに作用します。アロマを活用することで、緊張を和らげたり、ストレスによる不調を整えたりすることが期待できるのです。

頭痛のときにおすすめのアロマ

頭痛に役立つとされる精油(エッセンシャルオイル)は複数ありますが、それぞれ香りの特徴や作用が異なります。

ここでは、頭痛のときにおすすめの精油を6つ紹介します。

イランイラン

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フィリピンの言葉で「花の中の花」を意味するイランイラン。その名の通り、精油は華やかで濃厚な甘さをもつフローラル調の香りをもちます。

イランイラン精油を使った芳香浴により、片頭痛が減少したという研究結果が確認されています。

リラックス作用が期待できるほか、寝付きをよくすることが示唆されたという報告もあるため、香りで心身をゆるめたい方におすすめです。

※香りが強いため、逆効果になる場合もあります。少量から試してみましょう。
※皮膚刺激があるため、肌への使用は控えましょう。

グレープフルーツ

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グレープフルーツ精油は、柑橘系ならではの甘酸っぱくさわやかな香りが特徴です。

グレープフルーツ精油の香りをかぐことで、片頭痛の回数が減少したという報告があります。

また、グレープフルーツの香りで脳内の情報処理速度が高まったという研究結果もあるため、仕事や勉強中の頭痛対策としての活用もおすすめです。

※光毒性(紫外線により肌に炎症を起こす反応)があるため、肌に使用する場合は注意が必要です。

スイートオレンジ

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みずみずしくフルーティーな香りが特徴のスイートオレンジ精油。明るく前向きな気持ちに導く作用があるといわれており、幅広い世代に人気があります。

スイートオレンジ精油の芳香浴をすることで、片頭痛の発作回数が減少したという研究が報告されています。

また、ストレスを和らげ、神経の緊張をほぐす働きがあるとされているため、気分が落ち込みやすいときや、ゆったりと眠りにつきたいときにもおすすめのアロマです。

ゼラニウム

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ゼラニウム精油は、ローズに似た甘さと、グリーン調のすっきりとした香りを併せ持つ、フローラルな香りが特徴です。

ある研究では、片頭痛や緊張型頭痛を持つ女性に対し、ゼラニウム精油の芳香浴を行ったところ、症状が軽減したことが報告されています。

また、ゼラニウム精油は女性特有の症状を和らげる作用があるといわれているため、ホルモンバランスを整えたいときにもおすすめです。

パチュリ

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パチュリは、インドネシアやフィリピンなどの熱帯アジアを原産とする多年草。精油は、大地を感じさせるような深みのある香りをもちます。

不安な気持ちを和らげるとされ、古くから頭痛ケアにも使われてきました。

頭痛だけでなく、なんとなく落ち着かない、気が散るというときにも頼りになる香りです。

ペパーミント

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ペパーミント精油は、シャープで清々しい香りが特徴的。その清涼感から、食品や医薬品、化粧品など、さまざまな用途で使われています。

ペパーミント精油を取り入れることで頭痛が緩和したという研究があります。

また、眠気予防や作業効率アップなどの研究結果も確認されているため、気分をリフレッシュしたいときに使ってみるとよいでしょう。


※皮膚刺激があるため、肌への使用は控えましょう。

頭痛が気になるときに取り入れたいアロマ活用法

ここでは、頭痛が気になるときに取り入れたいアロマの活用法を紹介します。

アロマ温湿布

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お湯を入れた洗面器に精油を1~3滴垂らし、そこにタオルを浸して軽く絞ったら、首の後ろや肩に当てて温めます。じんわりとした温かさが筋肉の緊張をほぐし、血行をよくすることで、頭痛の緩和が期待できます。


※精油が肌に付着すると皮膚刺激が起きる場合があります。精油を含んだ面が内側になるようタオルを折って使用しましょう。

アロマロールオン

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外出先でも手軽に使えるのがアロマロールオンです。植物油で精油を薄めてロールオン容器に入れるだけで、こめかみや首筋などにさっと塗って香りを楽しめます。気分転換やリフレッシュにも役立ちます。


〈準備するもの(10ml容器の場合)〉

  • 精油…1~2滴 (顔周辺に使用する場合は1滴まで)
  • 植物油(ホホバ油、オリーブ油、スイートアーモンド油など)…10ml
  • あると便利な用具…耐熱ガラスビーカー、耐熱ガラス棒、ロールオンボトル、ラベル


〈作り方〉

  1. ビーカーに植物油を入れ、そこに精油を加える。
  2. ガラス棒でよく混ぜ合わせ、ロールオンボトルに移し替える。
  3. 作製日を記入したラベルを貼る。
  4. 保存料を使わないため、1カ月以内に使い切る。

アロマバス

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入浴中に香りを楽しむアロマバスも、頭痛時のセルフケアにぴったり。肩までしっかり浸かる「全身浴」や、ぬるめのお湯でゆったり楽しむ「半身浴」など、ライフスタイルや体調に合わせて選んでみましょう。

方法は簡単で、無水エタノール約5mlに精油を1~5滴ほど加え、よく混ぜてから浴槽に入れるだけ。天然塩(大さじ2程度)と混ぜると、アロマバスソルトとしても使えます。

肩の力を抜いて、ゆっくり深呼吸しながら香りを楽しんでみましょう。


アロマバスの方法について詳しくは、こちらの記事も参考にしてみてください。
お風呂でアロマを楽しもう!アロマバスの方法や効果、注意点も紹介

まとめ

イランイランやグレープフルーツ、スイートオレンジなどの精油は、頭痛対策におすすめです。たびたび頭痛に悩まされている方は、日常生活にアロマを取り入れてみてはいかがでしょうか。

香りの力や精油の安全な使い方についてもっと知りたい方は、「アロマテラピー検定」で精油の魅力を学んでみるのもひとつの方法です。体調や目的に合わせて精油を選べるようになり、アロマをより深く、幅広く楽しめるようになります。

【出典】

岩波久威,他 (2015) 片頭痛患者におけるアロマテラピーの効果. アロマテラピー学雑誌 15(1):63-67.

上野節子,他 (2022) 女性頭痛患者に対するアロマテラピーの有効性に関する研究. 日本頭痛学会誌 49(1):215-222.

熊谷千津, 他(2019)継続的に精油の香りを纏うライフスタイルが閉経移行期の女性に与える影響. アロマテラピー学雑誌 20(1):1-12.

監修
アロマサイエンス研究所
監修
アロマサイエンス研究所

植物の持つチカラが、心や身体にどのように作用するのか、研究・調査によってその有用性を明らかにし、さらに多くの方にアロマテラピーの魅力を伝えていくため、公益社団法人 日本アロマ環境協会(AEAJ)が立ち上げた研究所。

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