ゼラニウム精油ってどんな香り?女性特有の悩みにやさしく寄り添うアロマの魅力

精油の画像

ゼラニウム精油は甘く華やかなフローラルな香りと、青みがかったさわやかな香りを併せもち、幅広い年代から親しまれています。化粧品などにも配合されており、精油の中でも身近な存在といえるかもしれません。

今回は、ゼラニウム精油の香りの特徴や、暮らしの中での取り入れ方を紹介します。

ゼラニウムとは?

ローズゼラニウム(Pelargonium graveolens)は多年草の植物で、香りのよい品種が香料や化粧品などの原料として用いられてきました。

17世紀初頭に、南アフリカ原産の植物がヨーロッパへ持ち込まれてフランスで栽培が広がり、19世紀後半にはインド洋のレユニオン島へ伝わった歴史があります。

現在はエジプトやモロッコ、フランスやレユニオン島(フランス領)など、複数の産地で生産されています。

また、ゼラニウムの中でも香りのよいものとして、「センテッドゼラニウム(ニオイゼラニウム)」があります。さまざまな品種がありますが、精油が得られるものはその一部です。

ゼラニウム精油の香りの特徴

ゼラニウム精油の香りは、cis-ローズオキシド(ローズオキサイド)という成分を含むことで、ややローズを思わせるフローラルさと、さわやかなグリーンのニュアンスが調和しています。

香りの持続性はミドルノートに位置し、ほどよい強さで香りを感じられるのが特徴です。

ローズに似たフローラルな香りで、リラックスした空間作りや気持ちの切り替えの際に取り入れやすいとされています。また、心身のバランスをサポートするといわれているのもポイントです。

香りそのものは繊細でありながら存在感があり、他の精油とのブレンドでも幅広く活用されています。

ゼラニウム精油で期待できる効果

ゼラニウム精油は古くから香料や化粧品などに活用され、幅広く親しまれてきました。ここでは、ゼラニウム精油の力を紹介します。

女性特有の悩みに

女性の美しさや心身の健康には、女性ホルモンの一種であるエストロゲンが深く関わっています。エストロゲンは子宮内膜を厚くするなど、生殖にまつわる働きだけでなく、睡眠や脳機能、気分の安定、髪や肌の美しさにも関与するとされています。

ところが、40代に入るとエストロゲンの分泌が減少し始め、更年期の不調(ほてり、めまい、気分の落ち込み、集中力低下など)に悩む方が増えてきます。

こうした時期のセルフケアには、ゼラニウム精油の芳香浴を取り入れるのがおすすめです。ある研究では、ゼラニウム精油をまとって過ごすことで、気分が落ち着いたり、肌や髪のうるおいを感じたりしたという結果が報告されています。

また、ゼラニウム精油の香りをかいだ際に唾液中のエストロゲン濃度が変化したという報告もあります。

頭痛を和らげたいときに

頭痛は年齢に関わらず、多くの方が経験する症状のひとつで、軽いものから日常生活に支障がでるほど強いものまでさまざまです。痛みに加えて、寝付きの悪さや気分の落ち込み、仕事や家事に集中しにくいなどの不調を伴う場合もあります。

ゼラニウム精油の香りには、頭痛をやわらげる働きも期待できます。片頭痛や緊張型頭痛をもつ方を対象とした研究では、ゼラニウム精油を用いた場合に、頭痛の回数や程度に減少傾向がみられたことが示唆されました。

睡眠の質が気になるときに

睡眠と覚醒は、サーカディアンリズム(概日リズム)と呼ばれる体内時計によっておよそ1日単位で整えられています。

人間の体内時計の周期は約24〜25時間といわれ、地球の1日(24時間)よりわずかに長いため、外界のリズムと一致するよう、日々微調整されています。しかし、この調整が乱れると、寝つきや目覚めがスムーズに行われないことがあるのです。

ゼラニウム精油をホホバ油で希釈して行う「アロマテラピートリートメント」によって、睡眠の質の向上につながったという研究報告があるため、就寝前のボディケアにもおすすめです。

ゼラニウム精油の活用法

ゼラニウム精油は心地よい香りと扱いやすさから、日常的に取り入れやすい精油とされています。ここでは、家庭で実践しやすい精油の活用法を紹介します。

アロマロールオン

アロマロールオンの画像

外出先でも手軽に香りを楽しめるアロマロールオンは、バッグなどに入れて持ち運びやすく、気分に合わせて香りを楽しめます。また、指先などにサッと塗布できるため、乾燥しやすい部分の保湿にも役立ちます。


〈準備するもの〉(10ml容器の場合)

  • 精油…1~2滴 ※こめかみなど顔に使用する場合は1滴まで
  • 植物油(オリーブ油、スイートアーモンド油など)…10ml
  • あると便利な道具…耐熱ガラスビーカー、耐熱ガラス棒、ロールオンボトル、ラベル


〈作り方〉

  1. ビーカーに植物油を入れる。
  2. 1.に精油を加え、ガラス棒でよく混ぜる。
  3. ロールオンボトルに移し、作製日を記入したラベルを貼る。

作製後は冷暗所で保管し、保存料が入っていない場合はおよそ1カ月を目安に使い切るようにしましょう。

アロマテラピートリートメント

足をマッサージしている画像

アロマテラピートリートメントは、精油の香りと心地よさの相乗効果が期待できるケア方法です。ストレスの影響でみられる緊張をやわらげ、自律神経のリズムを整えるサポートになるとされています。

また、肌をやさしくさすることで、血液やリンパの流れをよくし、不要な水分や老廃物の排出を助けます。

なお、AEAJでは安全に配慮し、ボディ用のトリートメントオイルの場合は、精油を全体の1%以下、フェイスの場合は0.5%以下の濃度を推奨しています。規定量を守り、希釈したオイルを肌に丁寧に塗布しましょう。


〈準備するもの〉(30ml容器の場合)

  • 精油…ボディ用合計1~6滴/フェイス用合計1~3滴
  • 植物油(ホホバ油、スイートアーモンド油など)…30ml
  • あると便利な用具…耐熱ガラスビーカー、耐熱ガラス棒、遮光性保管容器、ラベル


〈作り方〉

  1. ビーカーに植物油を入れる。
  2. 1.に精油を加え、よく混ぜ合わせる。
  3. 2.を遮光容器に移し、作製日や内容を記入したラベルを貼り、保管する。

作製したトリートメントオイルは保存料を含まないため、直射日光や高温を避け、涼しい場所で保管し、1カ月以内に使い切るようにしましょう。

また、肌に刺激や違和感がみられた場合は、すぐに大量の水で洗い流し、その後の使用は控えてください。肌の弱い方は、あらかじめ低めの濃度で試してから使用することをおすすめします。

アロマバス

お風呂の画像

お風呂での芳香浴はリラックスタイムに取り入れやすい方法です。浴槽に精油を加えることで、手軽にアロマバスが楽しめます。

ただし、精油は水に溶けにくい性質があるため、お湯に加える場合、無水エタノールと混ぜ合わせて活用しましょう。


また、天然塩に希釈した精油を混ぜてバスソルトにするのもおすすめです。入浴は温熱効果と香りの心地よさの相乗効果が期待でき、ゆったりとした時間を過ごすのにぴったりです。

アロマバスの方法などが気になる方は、こちらの記事をご覧ください。

スキンローション

精油は古くからスキンケアにも利用されてきました。特に、ゼラニウム精油は香料や皮膚コンディショニング剤として、化粧品にも活用されています。簡単に作れるスキンローションの作り方は、以下の通りです。


〈準備するもの〉(50ml容器の場合)
しっとりタイプ

  • ゼラニウム精油…5滴
  • 芳香蒸留水…40ml
  • 無水エタノール…5ml
  • グリセリン…5ml

さっぱりタイプ

  • ゼラニウム精油…5滴
  • 水または芳香蒸留水…45ml
  • 無水エタノール…5ml

あると便利な用具
耐熱ガラスビーカー、耐熱ガラス棒、遮光性保管容器、ラベル


〈作り方〉

  1. ビーカーに無水エタノールを注ぎ、精油を加える。
  2. ガラス棒で丁寧に混ぜる。
  3. 2.に芳香蒸留水とグリセリンを加え、再度しっかりと混ぜ合わせる。※さっぱりタイプの場合、グリセリンは加えない。
  4. 遮光性保管容器に移した後、作製日や内容などを記載したラベルを貼って保管する。

使用時は、必ず容器をよく振ってから使いましょう。また、保存料が入っていないため、冷暗所に保管し1~2週間以内に使い切ることをおすすめします。

精油を扱う際の大切な注意点を守って使用しましょう。

まとめ

ゼラニウム精油は、ローズに似たフローラルな香りに、グリーン感のあるさわやかさを兼ね備えています。華やかで親しみやすい香りのため、毎日の暮らしにもなじみやすいでしょう。まずはその香りの特徴を知り、生活の中で気軽に楽しんでみてください。

たとえば、アロマロールオンやアロマテラピートリートメント、アロマバス、スキンケアなど自分に合った使い方を見つけることで、アロマの楽しみ方が広がります。

もっと精油の特徴や使い方を幅広く知りたい方は、アロマテラピー検定の学習を通じて基礎を学ぶのもおすすめです。

【出典】
K. Shinohara, et al. (2017) Effects of essential oil exposure on salivary estrogen concentration in perimenopausal women. Neuroendocrinology Letters 37(8):567-572.
上野節子,他 (2022) 女性頭痛患者に対するアロマテラピーの有効性に関する研究. 日本頭痛学会誌 49(1):215-222.
今西次郎,他 (2010) アロマセラピー・マッサージによる睡眠およびサーカディアンリズム障害の改善効果. 日本補完代替医療学雑誌 7(2):87-93.

著者情報
アロマサイエンス研究所
著者情報
アロマサイエンス研究所

植物の持つチカラが、心や身体にどのように作用するのか、研究・調査によってその有用性を明らかにし、さらに多くの方にアロマテラピーの魅力を伝えていくため、公益社団法人 日本アロマ環境協会(AEAJ)が立ち上げた研究所。

※本サイトの記事・写真・イラストなどの無断転載・複製はご遠慮ください。

About

「sense of AROMA」は、公益社団法人 日本アロマ環境協会(AEAJ)が運営するWEBメディアです。
アロマで暮らしを彩り、健康で豊かな毎日を過ごすためのヒントをお届けします。

Page
Top