ベルガモット精油とは?特徴・効能・活用法をわかりやすく解説

精油の画像

紅茶のアールグレイの香りづけとして使われるベルガモット。実はその精油には、心を落ち着かせたり、前向きな気持ちを引き出したりする力があることをご存じでしょうか。果皮から抽出されるベルガモット精油は、その心地よい香りとともに、古くからひとびとの暮らしに取り入れられてきました。今回は、ベルガモット精油の特徴や効能、そして日常での活用法について解説します。

ベルガモットとは

ベルガモットの画像

ベルガモットはミカン科に属するかんきつ類で、学名は「Citrus bergamia」といいます。主な生産地はイタリア南部のカラブリア地方です。

香料を得るために果皮が主に利用されており、果汁や果肉はほとんど活用されていません。レモンやオレンジのように果汁を楽しむかんきつ類とは、用途が異なります。

また、ベルガモットは紅茶のアールグレイの香りづけに使われていることで広く知られています。長い歴史の中でひとびとの暮らしに親しまれてきた香りのひとつとして、現在もさまざまなシーンで活用されています。

ベルガモット精油の特徴

ベルガモット精油は、かんきつ系のさわやかさに加えて、ほんのりとグリーン調のニュアンスが感じられる香りです。古くから化粧品や食用香料など、幅広い用途で活用されてきました。

17世紀末に誕生し、オーデコロンの語源となった「ケルンの水」の主要原料として利用されていたことも伝えられています。

一方で、ベルガモット精油は、紫外線に反応して皮膚に炎症を引き起こす成分「フロクマリン類」の一種であるベルガプテンを含むことが知られています。

そのため、スキンケアやボディケアとして肌に使用する際は、日中の使用を避ける、ベルガプテンを除去した「ベルガプテンフリー(フロクマリンフリー)」のベルガモット精油を使用するなど、安全に楽しむ工夫が大切です。適切に取り入れることで、日々の暮らしに心地よさをもたらすことができます。

ベルガモット精油の効能

ベルガモット精油には、どのような力があるのでしょうか。ここでは、ベルガモット精油を日常で使用するときにおすすめのシーンやその魅力について紹介します。

日常のストレスケアをしたいときに

ベルガモット精油は、ストレスを感じたときや気分を切り替えたいときによく用いられます。

かんきつ系のさわやかな香りが、気分転換のきっかけとなり、日常のセルフケアやリフレッシュタイムを心地よくサポートしてくれます。

研究では、ベルガモット精油を用いた芳香浴により、ストレスの緩和や免疫力の向上が見られたとの報告もあります。季節の変わり目など、心身のバランスや体調が気になるときにもおすすめです。

ぐっすり眠りたいときに

ベルガモット精油のアロマテラピートリートメントにより、睡眠の質が改善したことが研究により確認されています。

特に、ベッドに入った途端に「仕事でミスしてしまった」などと心配ごとが頭をよぎってしまう方も多いのではないでしょうか。

そんなときは、寝る前のボディケアとしてベルガモット精油を使ったアロマテラピートリートメントを取り入れてみるとよいでしょう。心を落ち着かせ、穏やかな気持ちで自然と眠りにつくサポートをしてくれるかもしれません。

集中後のリセットタイムに

仕事や勉強で頭を使った後、ベルガモット精油の芳香浴を取り入れることで、疲れた頭をクリアに導いてくれます。

研究では、ベルガモット精油の芳香浴をしたところ、香りなしの場合と比べて混乱の軽減、活気の増加、精神的疲労の低下などがみられたと報告されています。

かんきつのさわやかさにグリーン調の落ち着きが加わった香りは、頭の中を整理しながら前向きなエネルギーを呼び起こし、次の活動へと気持ちを切り替えるサポートをしてくれるでしょう。

産後のメンタルを整えたいときに

出産後はホルモンバランスの急激な変化により、気分が不安定になりやすい時期といわれています。そのため、産後の心のケアのひとつとして、香りを生活に取り入れる方も少なくありません。

研究では、ベルガモット精油を用いた芳香浴によって、産後のうつ傾向の低下が示されたと報告されています。ただし、感じ方には個人差があるため、無理のない範囲で活用することが大切です。

アロマの基本的な活用方法については、こちらの記事を参考にしてください。

ベルガモット精油の活用法

ベルガモット精油は、香水や紅茶の香りづけとしても使われることから、多くの方にとってなじみ深い香りです。気軽に生活に取り入れやすいのも魅力のひとつといえるでしょう。

ここでは、ベルガモット精油を暮らしに活かす方法を紹介します。

アロマディフューザー

アロマディフーザーの画像

アロマディフューザーには、大きく分けて電気を使用するタイプと電気を使用しないタイプがあります。

電気式のものは香りを広く行き渡らせたいときに向いており、種類もさまざまです。たとえば、超音波の振動でミストを発生させるタイプや、水を加えずに精油そのものを拡散させるタイプなどがあります。

一方、電気を使わないアロマディフューザーは、ストーンやウッド、スティックなどに精油を染み込ませて香らせる方式で、デスク周りやベッドサイドといった比較的狭い空間で香りを楽しみたいときに適しています。

製品によって対応できる部屋の広さやお手入れのしやすさが異なるため、使用するシーンやライフスタイルに合わせて選ぶのがポイントです。

アロマスプレー

ベルガモット精油を使ったアロマスプレーは、暮らしのさまざまな場面で活躍します。就寝前にリネンスプレーとしてシーツや布に吹きかけると、リラックスできる空間を演出できます。

また、空間のこもったにおいが気になるときにも、さわやかな香りで空間を心地よく整えるのに役立ちます。

アロマスプレーの作り方や保存方法について詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。

マグカップアロマ

マグカップアロマの画像

ベルガモット精油を手軽に楽しむなら、マグカップアロマもおすすめです。熱いお湯を注いだカップにベルガモット精油を1~3滴垂らし、目を閉じてから立ち上る湯気の香りをゆっくり吸い込みます。

精油の香りを直接鼻や口から吸い込むため、呼吸器系の違和感が気になるときに向いています。

ただし、精油成分が粘膜を刺激することもあるため、長時間行わず短時間で切り上げることが大切です。また、誤って飲まないよう十分に注意しましょう。使用後はマグカップをよく洗ってください。

アロマテラピートリートメント

足をマッサージしている画像

ベルガモット精油は、トリートメントオイルとしても活用できます。

植物油(ホホバ油やスイートアーモンド油など)30mlに対して、ボディ用で1〜6滴、フェイス用で1〜3滴を目安に希釈し、肌になじませながら使用します。

精油を希釈したトリートメントオイルを身体や顔に塗布することで、ストレスの緩和や自律神経のバランスを整えるサポートが期待できるでしょう。

さらに、肌をやさしくさすることで、血液やリンパの流れを促し、余分な水分や老廃物の排出にもつながります。

ただし、ベルガモット精油にはフロクマリン類(ベルガプテン)が含まれており光毒性があるため、日中に使う際は注意が必要です。

安心して取り入れたい場合は、光毒性成分を除去した「フロクマリンフリー」のベルガモット精油を選ぶとよいでしょう。

肌に刺激や違和感がみられた場合は、すぐに大量の水で洗い流し、使用を中止してください。肌の弱い方は、あらかじめ低濃度から試すことをおすすめします。

精油は正しい知識と注意点を守って、安全に活用しましょう。

まとめ

ベルガモット精油は、さわやかさとグリーン調のニュアンスを併せ持つ香りで、ストレスケアや睡眠サポートなど幅広く活躍します。使い方を工夫すれば、心を整え前向きな気持ちへと導いてくれるでしょう。自分のペースでベルガモットの香りを暮らしに取り入れ、穏やかな時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。

さらにアロマの知識を深めたい方は、「アロマテラピー検定」に挑戦してみるのもおすすめです。基礎から体系的に学べるため、精油の選び方から活用法まで、実用的なアロマの知識を身に付けられます。

【出典】
枝伸彦,他 (2019) エッセンシャルオイルによる香り刺激が口腔内免疫能に及ぼす影響についての生理心理学的研究. アロマテラピー学雑誌 20(3):28-37
渡辺映里,他 (2013) ベルガモット精油による芳香浴の自律神経系および情動に及ぼす影響. Aroma Research 14(2):150-154.
Mei-Ling CHEN, et al. (2022) The Effect of Bergamot Essential Oil Aromatherapy on Improving Depressive Mood and Sleep Quality in Postpartum Women:A Randomized Controlled Trial. The Journal of Nursing Research.30(2):1-8.

監修
アロマサイエンス研究所
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アロマサイエンス研究所

植物の持つチカラが、心や身体にどのように作用するのか、研究・調査によってその有用性を明らかにし、さらに多くの方にアロマテラピーの魅力を伝えていくため、公益社団法人 日本アロマ環境協会(AEAJ)が立ち上げた研究所。

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