フランキンセンス精油の効果とは?日常に取り入れる活用アイデアを紹介

古代エジプトの儀式や聖書にも登場する「フランキンセンス」。その神秘的な香りで古来より心の浄化作用があるといわれ、現代では美容や心身のケアにも活用されています。肌のハリを保ちたいときや呼吸器の違和感、花粉の季節など、さまざまな場面で役立つ精油です。

今回は、フランキンセンス精油の特徴や期待できる効果、日常生活で簡単に活用できる方法を紹介します。

フランキンセンスとは?

フランキンセンスの画像

フランキンセンスの原料となる植物は、カンラン科の樹木であるニュウコウジュ(ニュウコウノキ)です。主にエチオピアやソマリアなど、暑く乾燥した地域に自生しています。

樹皮に傷をつけると乳白色の樹液が分泌され、空気に触れると固まります。固まった樹脂を焚くと豊かで清らかな香りが立ちのぼることから、「乳香」とも呼ばれています。

学名はBoswellia sacra(ボスウェリア・サクラ)やBoswellia carteri(ボスウェリア・カルテリ)で、「sacra」はラテン語で「神聖な」という意味です。その名の通り、古代エジプトなどでは神聖な香料として珍重され、神々への献上品や祭壇の薫香などの宗教儀式に用いられてきました。

また、『新約聖書』の中では、イエス・キリスト誕生のときに黄金、ミルラとともに贈られた逸話でも知られています。

フランキンセンス精油の特徴

フランキンセンス精油は、もともとの樹脂の香りは穏やかですが、熱を加えて焚くことで深みと力強さが広がり、神秘的な印象となるのが特徴です。さわやかなスパイシーさと澄み渡るような透明感を併せ持ち、心を落ち着かせる香りとして親しまれています。

香りの成分には、みずみずしいかんきつのような香りをもたらす「d-リモネン」が含まれており、重厚さと軽やかさを併せ持っています。

また、古くから宗教的な儀式や瞑想に用いられてきたことから、「浄化の精油」と呼ばれることもあります。ジュニパーベリーも浄化の精油として知られていますが、ジュニパーベリー精油が身体の浄化・デトックスを促すとされているのに対し、フランキンセンス精油は心の浄化・デトックスに役立つともいわれています。

フランキンセンス精油の効果

フランキンセンス精油にはどのような力があるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。古くから美容や健康のサポートに用いられてきたフランキンセンス精油は、現代でもスキンケアやリラックス目的など幅広く活用されています。

ここでは、フランキンセンス精油の力について4つの観点から紹介します。

若々しい印象の肌を保ちたいときに

紫外線は一年を通して降り注いでおり、長期間浴び続けることでシミやシワなどの皮膚の老化現象を引き起こす要因となります。紫外線を受けると体内で大量の活性酸素が発生し、コラーゲンやエラスチンを生成する線維芽細胞がダメージを受け、肌のハリやうるおいが失われてしまうのです。

そんな肌のコンディションが気になるときに取り入れたいのが、フランキンセンス精油です。ある研究では、フランキンセンス精油に活性酸素から角質細胞を保護する働きがあったことが示唆されています。

また、AEAJ会員を対象としたアンケート調査では、肌のうるおい、キメ・ハリ、弾力、肌荒れといった点で効果を実感した方が多かったという結果も出ています。

年齢肌が気になる方のスキンケアに、心強い味方となる精油といえるでしょう。

呼吸器系のトラブルが気になるときに

気温差が激しい季節や空気が乾燥する冬場、あるいは風邪のひき始めなどには、咳が止まらなかったり、喉の奥がイガイガしたりと、呼吸器系の不快感を覚えることがあります。こうした症状は日常生活の質を下げるだけでなく、睡眠の質にも影響することがあるため、早めのケアが大切です。

フランキンセンス精油は、古くから呼吸器系の違和感を和らげる目的で使われてきました。咳や痰が気になるときには、蒸気吸入法を取り入れてみるとよいでしょう。

鼻の不快感を和らげたいときに

春先など暖かくなる時期は、身体も気持ちも緩む一方で、花粉症の方にとってはくしゃみや鼻水、鼻づまりといった症状に悩まされやすい季節です。そんなときにも、フランキンセンス精油は心強い味方となる可能性があります。

通年性アレルギー性鼻炎の方を対象にした実験では、サンダルウッド精油・フランキンセンス精油・ラヴィンサラ精油をブレンドした香りを吸入した結果、香りなしの場合と比べて鼻の不快感が軽減する傾向が見られました。日常的にディフューザーなどで香りを取り入れることで、鼻まわりの不快感の緩和に役立つ可能性があります。

感染症の予防に役立てたいときに

真菌の一種であるカンジダ菌は、口腔、消化管、腟などに常在しており、健康な人の体内にも存在する菌です。しかし、病気などで免疫力が低下すると「カンジダ症」を発症し、皮膚や粘膜に炎症を引き起こすことがあります。

フランキンセンス精油の抗菌・抗真菌作用を調べた実験では、カンジダ菌に対する抗真菌作用や、黄色ブドウ球菌に対する抗菌作用が確認されました。

日常にフランキンセンス精油をうまく取り入れることで、感染症予防のサポートに役立てることができるでしょう。

フランキンセンス精油の活用法

日々の暮らしにフランキンセンス精油を取り入れたいと思っていても、「どんな方法で使えばいいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。ここでは、自宅で簡単に実践できる活用法を紹介します。

アロマバーム

アロマバームの画像

フランキンセンス精油を使ってアロマバームを作っておけば、スキンケアや鼻まわりの乾燥対策など、さまざまな場面で活用できます。香りを楽しみながら肌をやさしくケアできるのも魅力です。


〈準備するもの(20ml容器の場合)〉

  • シアバター…2.5ml
  • ミツロウ…2g
  • 植物油(ココナッツ油、ホホバ油、スイートアーモンド油など)…10ml
  • フランキンセンス精油…1~2滴 ※顔にも使用する場合は1滴まで
  • あると便利な用具…耐熱ガラスビーカー、ボウル(湯煎用)、耐熱ガラス棒、ラベルなど


〈作り方〉

  1. ビーカーにミツロウと植物油を入れ、湯煎にかける。
  2. ミツロウが溶けたら取り出し、粗熱をとる。
  3. 精油とシアバターを加え、ガラス棒などでよく混ぜる。
  4. 容器に移し、作製日と精油名を記載したラベルを貼る。

※保存料が入っていないため、1カ月以内に使い切りましょう。

マグカップアロマ

マグカップアロマの画像

お湯を入れたマグカップに精油を滴下し、蒸気とともに香りを吸い込む「マグカップアロマ」も簡単でおすすめです。フランキンセンス精油を鼻や口から吸い込むことで、呼吸器系の違和感を和らげるサポートになります。


〈準備するもの〉

  • フランキンセンス精油…1~3滴
  • 熱湯…適量
  • 用具…マグカップ(ボウルや洗面器でも代用可)


〈方法〉

  1. マグカップに熱湯を注ぐ。
  2. 精油を1~3滴垂らす。
  3. 目を閉じて、カップから立ち上る蒸気をゆっくりと鼻から吸い込む。

※誤って飲まないように注意してください。
※精油成分が粘膜を刺激することがあるため、長時間の吸入は避けましょう。

スキンローション

精油の画像

フランキンセンス精油は、エイジングケアに役立つ精油として知られ、肌のハリやうるおいを保つ目的でよく用いられてきたといわれています。日々のスキンケアに香りのアクセントとして、取り入れてみてはいかがでしょうか。

フランキンセンス精油を使ったスキンローションの作り方は以下の通りです。


〈準備するもの(50ml容器の場合)〉

しっとりタイプ

  • フランキンセンス精油…5滴
  • 芳香蒸留水…40ml
  • 無水エタノール…5ml
  • グリセリン…5ml


さっぱりタイプ

  • フランキンセンス精油…5滴
  • 水または芳香蒸留水…45ml
  • 無水エタノール…5ml

あると便利な用具
耐熱ガラスビーカー、耐熱ガラス棒、遮光性保管容器、ラベル


〈作り方〉

  1. ビーカーに無水エタノールを入れ、精油を加える。
  2. ガラス棒でよく混ぜる。
  3. 芳香蒸留水とグリセリン(しっとりタイプの場合)を加え、再びよく混ぜる。
  4. 遮光性保管容器に移し、作製日や内容などを記載したラベルを貼って保管する。

※使用前は必ず容器をよく振ってから使いましょう。
※保存料が入っていないため、冷暗所に保管し1~2週間以内に使い切りましょう。

アロマテラピートリートメント

足をマッサージしている画像

精油と植物油を混ぜて作ったトリートメントオイルを顔や身体に塗布する方法です。保湿ケアはもちろん、香りによるリラクゼーション効果も期待できます。

使用する際は、必ずホホバ油やスイートアーモンド油などの植物油で精油を希釈しましょう。濃度の目安は、身体に使用する場合は1%以下、顔に使用する場合は0.5%以下です。肌が敏感な方は、低い濃度から試すようおすすめします。

精油の使い方や注意点については以下の記事でも解説していますので、チェックしてみてください。

まとめ

フランキンセンス精油は、香りを楽しむだけでなく、スキンケアや呼吸器系のトラブル、感染症予防など、幅広い効果を期待して古くから活用されてきた精油です。今回紹介した活用方法を参考に、日々の生活に気軽に取り入れてみましょう。

精油についての知識を深め、正しい使い方を体系的に学びたい方は、「アロマテラピー検定」に挑戦してみるのもおすすめです。アロマの基礎知識は、実生活のさまざまなシーンで役立てることができます。自分や家族の健康づくりに、ぜひ活用してみてください。

【出典】
小林奈保子,他 (2021) 酸化ストレスによる皮膚障害を抑制する精油の探索と機能解析. アロマテラピー学雑誌 22(1):1-9.
AEAJ「精油の効果実感に関する調査」(2024年4月~5月、回答者数916人)
Choi S.Y., Park K. (2016) Effect of Inhalation of Aromatherapy Oil on Patients with Parennial Allergic Rhinitis: A Randomized Controlled Trial. Evid Based Complement Altenat Med. :7896081.
Camarda L, et al. (2007) Chemical Composition and Antimicrobial Activity of Some Oleogum Resin Essential Oils from Boswellia SPP. (Burseraceae). Annali di Chimica 97(9):837-844.

監修
アロマサイエンス研究所
監修
アロマサイエンス研究所

植物の持つチカラが、心や身体にどのように作用するのか、研究・調査によってその有用性を明らかにし、さらに多くの方にアロマテラピーの魅力を伝えていくため、公益社団法人 日本アロマ環境協会(AEAJ)が立ち上げた研究所。

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「sense of AROMA」は、公益社団法人 日本アロマ環境協会(AEAJ)が運営するWEBメディアです。
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