サンダルウッド(白檀)精油とは?期待できる効果や活用法を紹介

冷たい空気が漂う秋冬の季節に、心を落ち着かせてくれる香りとして人気なのが「サンダルウッド」です。深みのあるウッディで甘い香りが特徴で、古くから瞑想やお香などに使われてきました。

今回は、サンダルウッド精油について、その特徴や効果、活用法を紹介します。

サンダルウッドとは

サンダルウッドの画像

サンダルウッドの原料植物名はインディアンサンダルウッド(学名:Santalum album)、またはオーストラリアンサンダルウッド(Santalum spicatum)です。どちらも半寄生植物で、他の植物の根に寄生して生育します。

学名の「Santalum」はサンスクリット語の「chandana(芳香)」に由来し、「album」はラテン語で「白い」を意味します。その名の通り、木材の色が白く香り高いことから、日本では「白い香木」を意味する「白檀(びゃくだん)」と呼ばれ、お香として古くから親しまれてきました。

インディアンサンダルウッドは、古代より宗教や瞑想と深い関わりを持ち、香木としてお香や宗教儀式に用いられてきました。6世紀ごろには、サンダルウッド精油をベースにダマスクローズなどの花を蒸留して作る香油「アター(attar)」が誕生し、南アジアにおける香り文化の礎を築いたとされています。

1916年には、南インド・マイソール王国の君主、クリシュナ・ラージャ4世がサンダルウッド精油の蒸留工場を設立し、その上質な香りは国際的にも高く評価されました。

しかし、近年はインディアンサンダルウッドが減少したことから、代替としてオーストラリアンサンダルウッドの利用が進められています。

サンダルウッド精油の特徴

サンダルウッド精油は、ミルキーな甘さを含んだ柔らかなウッディ調の香りが特徴です。お香のように深みがあり、落ち着いた官能的な香りは、香水ではベースノート(残り香)として重宝されています。

この香りの中心となるのが、α-サンタロールとβ-サンタロールという成分です。これらがサンダルウッド精油の90%以上を占めています。

精油は、木の幹の中心部分である心材(しんざい)から水蒸気蒸留法によって抽出されます。ゆっくりと時間をかけて抽出されるため、香りはまろやかで深みのあるものになります。

サンダルウッド精油の効果

サンダルウッド精油には、心と身体の両面に穏やかに働きかける力があるといわれています。

そのため、リラックスタイムに香りを楽しむのはもちろん、香りがもつ力に期待して日々の生活に取り入れるのもおすすめです。

ここでは、サンダルウッド精油の力について代表的なものを紹介します。

肌を健やかに保ちたいときに

サンダルウッド精油は、肌を健やかに保つサポートをしてくれる精油として知られています。

研究では、メラニンを生成する酵素「チロシナーゼ」に対して、サンダルウッド精油が活性を抑制する作用を示したとの報告があります。この結果から、シミやくすみの予防、透明感のある肌づくりに役立つ可能性があると考えられています。

明るい印象の肌づくりのサポートとして、サンダルウッド精油をスキンケアに取り入れてみてはいかがでしょうか。

不安な気持ちを和らげたいときに

心が落ち着かないときや緊張を感じるとき、深く安らぐような香りを嗅ぐと気持ちが整うことがあります。

サンダルウッド精油には鎮静作用があるとされており、不安感や抑うつなどの症状をやわらげる目的で使われてきました。そのため、精神を穏やかに整える香りとして、瞑想や祈りの場でも重宝されてきたのです。

緊張しやすい場面の前にディフューザーで香らせたり、アロマバームを携帯して深呼吸とともに香りを吸い込んだりすると、心を落ち着ける助けになるでしょう。

呼吸器系の症状が気になるときに

サンダルウッド精油は、古くから咳や気管支の違和感、胃の不快感などに用いられてきたといわれています。

喉の違和感が続くときは芳香浴として香りを漂わせたり、精油と植物油を混ぜて胸元をやさしくマッサージしたりするのもおすすめです。

深くゆっくりとした呼吸を意識しながら香りに包まれることで、気分を落ち着け、心身のリラックスにつながるでしょう。

鼻炎の症状が気になるときに

花粉やダニ、ハウスダストなどのアレルゲンによって、くしゃみや鼻づまりなどの症状が出てしまうアレルギー性鼻炎で悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

ある研究では、サンダルウッド精油を含むブレンド精油の香りを吸引したところ、通年性アレルギー性鼻炎の症状が軽減したことが報告されています。

鼻まわりの不快感が気になるときは、ディフューザーやアロマスプレーなどでサンダルウッド精油を取り入れてみてはいかがでしょうか。

サンダルウッド精油の活用法

心を落ち着けたいときや、肌を健やかに整えたいときに役立つサンダルウッド精油。ここでは、日々の暮らしの中で簡単に取り入れられる使い方を紹介します。

スキンローション

精油の画像

肌をうるおしながら、サンダルウッドの落ち着いた香りを楽しめるスキンローション。毎日のスキンケアに取り入れれば、リラックスしながら肌のお手入れができます。


〈準備するもの(50ml容器の場合)〉

しっとりタイプ

  • 精油…5滴
  • 芳香蒸留水…40ml
  • 無水エタノール…5ml
  • グリセリン…5ml

さっぱりタイプ

  • 精油…5滴
  • 水または芳香蒸留水…45ml
  • 無水エタノール…5ml

あると便利な用具
耐熱ガラスビーカー、耐熱ガラス棒、遮光性保管容器、ラベルなど


〈作り方〉

  1. ビーカーに無水エタノールを入れ、精油を加える。
  2. ガラス棒でよく混ぜる。
  3. 芳香蒸留水とグリセリン(しっとりタイプの場合)を加え、さらによく混ぜる。
    ※さっぱりタイプは、グリセリンは加えない。


※使用前は必ず容器をよく振りましょう。
※保存料が入っていないため、冷暗所に保管し1~2週間以内(水を含むレシピのため)に使い切るようおすすめします。

アロマバーム

アロマバームの画像

乾燥が気になる季節の保湿や、気分転換にも使えるアロマバーム。サンダルウッドの香りをまとえば、不安を感じたときにもそっと心を落ち着けてくれる心強い味方になるでしょう。


〈準備するもの(20ml容器の場合)〉

  • シアバター…2.5ml
  • ミツロウ…2g
  • 植物油(ホホバ油、スイートアーモンド油、ココナッツ油など)…10ml
  • 精油…1~2滴(顔に使う場合は1滴まで)
  • あると便利な用具…耐熱ガラスビーカー、耐熱ガラス棒、ボウル(湯煎用)、ラベルなど


〈作り方〉

  1. ビーカーにミツロウと植物油を入れ、湯煎で溶かす。
  2. ミツロウが溶けたらビーカーを取り出し、粗熱をとる。
  3. 精油とシアバターを加え、ガラス棒などでよく混ぜる。
  4. 容器に移し、作製日と精油名を記載したラベルを貼付する。

※保存料が入っていないため、1カ月以内に使い切りましょう。

マグカップアロマ

マグカップアロマの画像

喉や鼻の不快感が気になるときにおすすめなのが、マグカップアロマです。お湯の蒸気とともに立ちのぼる香りが、呼吸をゆるやかに整えてくれます。


〈準備するもの〉

  • 精油…1~3滴
  • 熱湯…適量
  • マグカップ(ボウルや洗面器でも代用可)


〈方法〉

  1. マグカップに熱湯を注ぐ。
  2. 精油を1~3滴垂らす。
  3. 目を閉じて、立ち上る蒸気をゆっくりと鼻から吸い込む。

※精油成分が粘膜を刺激することもあるため、長時間の吸入は避けましょう。
※飲まないように注意してください。

アロマテラピートリートメント

足をマッサージしている画像

トリートメントオイルを肌になじませることで、香りと肌への心地よい刺激の両方から心身を整える方法です。ストレスでこわばった身体をゆるめ、自律神経のリズムを整えるサポートができるといわれています。

AEAJでは、安全のために以下の濃度を推奨しています。

  • ボディ用:精油濃度1%以下
  • フェイス用:精油濃度0.5%以下


〈準備するもの(30ml容器の場合)〉

  • 精油…ボディ用1~6滴/フェイス用1~3滴
  • 植物油(ホホバ油、スイートアーモンド油など)…30ml
  • あると便利な用具…耐熱ガラスビーカー、耐熱ガラス棒、遮光性保管容器、ラベルなど


〈作り方〉

  1. ビーカーに植物油を入れる。
  2. 精油を加えてよく混ぜる。
  3. 遮光容器に移し、ラベル(作製日や内容を記入したもの)を貼り、保管する。

※保存料が入っていないため、1カ月以内に使い切りましょう。

精油の基本的な使い方や注意点については、こちらの記事も参考にしてください。

まとめ

深く穏やかな香りをもつサンダルウッド精油は、リラックスしたいときや肌をすこやかに整えたいときなど、さまざまな場面で活用できるのが魅力です。

今回紹介したように、スキンケアやアロマバーム、マグカップアロマなど、日常の中でも気軽に取り入れられます。

「精油の力やブレンド方法をもっと深く知りたい」という方は、「アロマテラピー検定」にチャレンジしてみるのもおすすめです。香りの世界を体系的に学ぶことで、より自分らしいアロマライフを楽しめるようになるでしょう。

【出典】
Misra BB, Day S (2013) TLC-bioautographic evaluation of in vitro anti-tyrosinase and anti-cholinesterase potentials of sandalwood oil. Nat Prod Commun 8(2):253-256.
Choi S.Y., Park K. (2016) Effect of Inhalation of Aromatherapy Oil on Patients with Parennial Allergic Rhinitis: A Randomized Controlled Trial. Evid Based Complement Altenat Med.:7896081.

監修
アロマサイエンス研究所
監修
アロマサイエンス研究所

植物の持つチカラが、心や身体にどのように作用するのか、研究・調査によってその有用性を明らかにし、さらに多くの方にアロマテラピーの魅力を伝えていくため、公益社団法人 日本アロマ環境協会(AEAJ)が立ち上げた研究所。

※本サイトの記事・写真・イラストなどの無断転載・複製はご遠慮ください。

About

「sense of AROMA」は、公益社団法人 日本アロマ環境協会(AEAJ)が運営するWEBメディアです。
アロマで暮らしを彩り、健康で豊かな毎日を過ごすためのヒントをお届けします。

Page
Top