五月病対策には休息と香りを。アロマテラピーを活用したセルフケア術
- この記事をシェアする
新年度が始まってしばらく経ち、「なんとなくやる気が出ない」「疲れが抜けない」と感じていませんか。その不調の正体は、環境の変化によるストレスが影響する五月病かもしれません。進学や就職、異動などで緊張が続いた心身は、連休明けに一気にバランスを崩しやすくなります。放っておくと不調が長引くこともあるため、早めのケアが大切です。
今回は、新年度にストレスで現れる不調のサインと、五月病が気になるときに日常でできる対策、そしてアロマテラピーの活用法について解説します。
五月病は新年度のストレスと関係している?
ゴールデンウィーク明けに気力が湧かない、なんとなく身体がだるい……。こうした状態はいわゆる「五月病」とも呼ばれますが、その背景にはストレスのメカニズムが深く関わっています。
4月は進学や就職、異動、転居など、生活環境が大きく変化するタイミングです。職場や学校、家庭での人間関係の変化、仕事や勉強上の新たな課題など、社会生活におけるさまざまな出来事がストレッサー(ストレス反応を起こす刺激)となり、心身に影響が出ることがあります。
加えて、季節の変わり目のこの時期は、寒暖差が大きく身体への負荷がかかりがち。気温や湿度の変化といった物理的な要因もストレッサーとなってしまうのです。
こうしたストレッサーにさらされ続けると、身体はまず警告反応として緊張状態に入り、その後なんとか適応しようと抵抗を続けます。新年度直後に緊張感や期待感で乗り切れるのは、この適応しようとする働きが影響しているのかもしれません。
しかし、抵抗を続けることでエネルギーは徐々に減少し、やがてストレッサーに対する抵抗力が衰え、ストレス反応が現れる疲憊期に入ります。ゴールデンウィーク明けに不調が表面化しやすいのは、こうした時期と重なりやすいためではないかと考えられます。
抵抗力が下がると、ストレスへの対応を担うホメオスタシス(身体の恒常性を保つ働き)も乱れ始めます。これにより自律神経・内分泌系・免疫系のバランスが崩れ、心身にさまざまな不調サインが現れてきます。
ストレスによって現れる不調
ストレスが長く継続すると、心と身体にさまざまなサインが現れます。代表的な不調を知っておくことで、自分自身や身近な人の変化にも気づきやすくなります。
- 頭痛
- 動悸・めまい
- 睡眠障害
- 不安
- イライラ
- 気分の落ち込み
- 思考力の低下 など
これらはストレスが蓄積しているサインかもしれません。体調が優れない場合は無理をせず、まずは休息を取るよう心がけましょう。
「五月病」が気になる春のゆらぎ対策
「五月病」という言葉を耳にすると特別な対処が必要に感じられるかもしれませんが、日々の過ごし方を少し意識することで、春特有のゆらぎと向き合いやすくなる場合もあります。
ここでは、今日から無理なく取り入れやすい生活習慣の工夫を紹介します。
十分な睡眠を取る
質のよい睡眠を確保することは、心身の健康を保つ上で最も重要な対策のひとつです。
睡眠不足が続くと、自律神経のバランスが乱れ、体調不良やメンタル面での不調につながります。健康維持のためには、最低でも6時間以上、できれば7~8時間の睡眠を取ることが理想的だと考えられています。
良質な睡眠を確保するためには、いくつかのコツがあります。
まず、毎日起きる時間を一定にすることで、体内リズムが整いやすくなります。また、就寝3時間前までに食事を終わらせることで、胃腸への負担を減らし、深い眠りにつきやすくなります。
寝る前のスマートフォンやテレビの使用は、ブルーライトの影響で脳が覚醒してしまうため控えましょう。就寝1時間前には部屋の照明をやや暗めの暖色系にすることで、自然と眠気を促すことができます。
こうした小さな工夫を積み重ねることが、質の高い睡眠へとつながります。
適度な運動をする
日常生活に適度な運動を取り入れることで、心身のリフレッシュが図れます。
身体を動かすことは、ストレスを発散させる効果的な方法です。激しい運動をする必要はなく、ウォーキングやストレッチなど、手軽にできる運動でも十分に効果が期待できます。
特に、デスクワークで身体が凝り固まっている方は、軽い運動で血行を促進することで、気分転換にもなります。
さらに、日中に適度に身体を動かすことで、睡眠の質も向上します。運動によって適度な疲労感が生まれ、自然と深い眠りにつきやすくなるのです。無理のない範囲で、日々の生活に運動を取り入れてみましょう。
気分転換をする
心の負担を軽くするためには、意識的に気分転換の時間を作ることが大切です。
少しの時間でも、自分の好きなことに没頭することで気持ちをやわらげられます。思いっきり笑える動画を見る、好きな音楽を聴く、趣味に没頭するなど、自分自身が心地よく感じ、気分が軽くなるものを積極的に取り入れましょう。
また、散歩や森林浴など、日常とは離れた環境に身を置くことも効果的です。自然の中で過ごす時間は、心をリラックスさせ、ストレスを和らげてくれます。
忙しい日々の中でも、意識して自分のための時間を確保することが、心身のバランスを保つ鍵となります。
「五月病」に役立つアロマテラピー
アロマテラピーは、香りの力を活用して心身のバランスを整えるのに役立ちます。
嗅覚でキャッチされた香りの情報は、脳の大脳辺縁系に直接届きます。好き・嫌いといった感情を呼び起こす「扁桃体」を通った後、自律神経やホルモン、免疫のバランスを司る「視床下部」に伝達され、感情や記憶、体調などに変化が起こるしくみです。

また、自律神経には、心身を活動モードに導く交感神経と、リラックスモードに導く副交感神経があります。しかし、ストレスなどで交感神経の活動が優位になると自律神経のバランスが乱れ、体調が不安定になりやすくなります。
アロマテラピーで用いる精油(エッセンシャルオイル)には、嗅覚を通じて副交感神経の働きを高め、リラックスモードに導いてくれるものが多くあります。一方で、交感神経の活動を高め、気分をリフレッシュさせるものもあります。
春のゆらぎを感じる時期には、こうした香りの力を借りることで、心身を穏やかな状態へと導くサポートが期待できます。
【シーン別】五月病におすすめのアロマ&活用法
気分が落ち込んだり、不安で眠れなかったりと、春のゆらぎによる心身の違和感は時間帯や場面によって現れ方が異なります。
そんなときは、その場面に合った精油を選び、手軽な方法で香りを取り入れることで、心身のバランスを整えるサポートが期待できます。
朝、「学校や会社に行きたくない」重い気分には

朝の重たい気分をリフレッシュさせたいときは、さわやかなかんきつ系の香りが役立ちます。
おすすめの精油は、グレープフルーツ精油です。ある実験ではグレープフルーツ精油により交感神経が優位になったことが確認されており、重い気分を和らげる効果が期待できます。
活用法としては、マグカップアロマが手軽に取り入れやすい方法です。お湯を入れたマグカップに精油を1~3滴垂らすだけで、簡単に香りを楽しめます。目を閉じて、カップから立ち上る蒸気を、深呼吸するように鼻からゆっくり吸い込みましょう。
※誤って飲まないように注意しましょう。使用後はマグカップをよく洗ってください。
※蒸気を吸い込むときは必ず目を閉じてください。
※不快感や異変を感じた場合は、使用を中止しましょう。
※咳がひどいときや、ぜんそくの場合は行わないようにしましょう。
仕事中、集中できずやる気が出ないときは

仕事や勉強に集中したいときは、頭をスッキリさせてくれる香りを選びましょう。
おすすめの精油は、ペパーミント精油とローズマリー精油です。
ペパーミント精油は、清々しくクールなミントの香りが特徴で、頭をスッキリさせたいときや気分転換したいときにぴったりです。
ローズマリー精油は、嗅ぐことで精神的疲労が回復したり、作業効率が高まったりしたという報告があります。
活用法としては、ティッシュやハンカチに精油を1~4滴含ませてサッと嗅ぐ方法が手軽です。また、アロマスプレーを作っておくと、いつでも気軽に香りを楽しめて便利です。デスクワーク中や休憩時間に活用することで、気分をリフレッシュさせながら作業に取り組めます。
アロマスプレーの作り方について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
夜、明日が不安で眠れないときは

不安な気持ちで眠れない夜には、心を落ち着かせてくれる香りが効果的です。
おすすめの精油は、ラベンダー精油とスイートオレンジ精油です。
ラベンダー精油は、身体のリズムを整えるといわれており、深くリラックスできる香りが特徴です。
スイートオレンジ精油は、就寝前・就寝中に嗅ぐことで、眠る前にリラックスが得られたという報告が確認されています。
活用法としては、浴槽に精油を加えて香りを広げるアロマバスがおすすめです。温かいお風呂にゆっくりつかりながら香りを楽しむことで心身ともにリラックスでき、質のよい睡眠へとつながります。
ただし、精油は水に溶けにくい性質を持っているため、必ず無水エタノールや植物油に混ぜてから利用しましょう。
アロマバスの詳しい方法については、以下の記事をご覧ください。
まとめ
新年度は環境の変化により、ストレスが積み重なって心身の不調が現れやすくなります。十分な睡眠や適度な運動、気分転換といった基本的な生活習慣の見直しに加え、香りの力を活用したアロマテラピーも心強いサポートになります。
朝・日中・夜とシーンに合わせて香りを取り入れることで、心身の切り替えがしやすくなるでしょう。無理をせず、自分に合った方法で春のゆらぎと上手に付き合っていきましょう。
香りについてもう少し知識を深めたい方は、アロマテラピー検定を受けてみるのもひとつの選択肢です。基礎から体系的に学べるので、初めての方でも安心して取り組めます。
【出典】
大野博美,他 (2007) グレープフルーツの香りの吸入が課題遂行に伴う集中力低下を防ぐ. Aroma Research 8(2):168-171.
※本サイトの記事・写真・イラストなどの無断転載・複製はご遠慮ください。
