不快なにおいを心地よい香りに変換することが可能に!?嗅覚受容体の反応を網羅的に解析する新技術

花王感覚科学研究所は、ヒトが持つ約400種類の嗅覚受容体のほぼすべてを培養細胞の表面に発現させることに世界で初めて成功し、においに対する嗅覚受容体の反応を網羅的に解析する技術「ScentVista 400TM(セントビスタフォーダブルオー)」を確立。嗅覚受容体の反応パターンの解析により、ヒトがにおいを認識するメカニズムを理解できる可能性が高まりました。


「ScentVista 400」は、嗅覚受容体を持つ培養細胞をくぼみが並ぶマイクロプレートに配置した設計。そこににおいを添加し、嗅覚受容体がにおい物質を認識すると光が生じ、その光の強度によって反応を確認する仕組みです。
この技術を用いて、約400種類の嗅覚受容体が、さまざまなにおい物質に対してどのように反応するのか調査。すると、よく似たにおいに対しては同様の、異なるにおいに対しては異なる、反応パターンが現れました。


例えば、花弁を原料とするローズオイルと、葉や枝を原料とするゼラニウムオイルは、花の種類も原料とする部位も異なりますが、よく似た香りを持っています。そこで、ローズオイルとゼラニウムオイルそれぞれに対する嗅覚受容体の反応パターンを確認すると、その形は類似していました。
また、インドールというにおい物質は、薄い濃度では好ましいジャスミンのようなフローラルな香り、濃い濃度では不快な便臭に感じますが、嗅覚受容体の反応パターンも、濃度によって異なる結果を示していました。


この成果を応用することで、人・衣類・生活空間などに由来する不快なにおいを心地よい香りの反応パターンへと変換し、優れた消臭効果を持つ新しい香りが生まれるかもしれません。日常にある香りがどのように変化していくのか、研究の動向が注目されます。

お問い合わせ先/花王株式会社 kao.com/jp

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