幸せを重ねるように、香りをブレンドする。
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ネロリは幸せの香り
以前は企業で人事業務に携わっており、さまざまな働き方の支援を行っていました。日々忙しい社員の心のケアも大切な役割のひとつで、アロマテラピーを学びたいと思ったのも、香りが気持ちの切り替えや癒しの助けになると感じていたからなのかもしれません。良い香りは、嗅いだ瞬間に幸せな気持ちになりますよね。気がついたら口角がキュッと上がっているような。私はネロリの香りが大好きなのですが、ネロリの花が咲く時期に産地の山へ行くと、辺り一面が甘い香りに覆われて本当に満ち足りた気持ちになるんです。

足して引く。シンプルなレシピが私のスタイル
会社の制度を利用してキャリアチェンジをして、アロマビジネスの世界に飛び込みました。ちょうどアロマテラピーを学ぶことが面白くなってきた時期でもあり、資格を活かした仕事にチャレンジしたんです。最初のオファーはVRの制作会社からで、お寺を散策する映像に合わせた香りづくり。湿り気を帯びた木の廊下や、美しく掃き清められた枯山水の庭園を、パチュリやヒバなど重めのウッド系をベースに檜などの和精油を加え、香りで風景の輪郭を立ち上げました。イメージに寄せて香りを重ねてから、余分なものを引いていく。最終的には5、6種類のレシピで着地するシンプルなブレンドスタイルが、私の型になっていきました。

ブレンドで迷っても、最後は自分を信じて
精油をブレンドすることの魅力は、揺らぎや偶然性だと感じています。同じ精油、同じ分量でブレンドしても、日によって違うものに感じたり、意図していないところで思いがけない印象に出合うことも。そこが天然のものを扱う面白さであり、難しさでもあります。依頼を受けて香りをつくってもなかなか正解に辿り着けないとき、一般論や他人の意見が気になってしまうこともありますが、最後は自分を信じて覚悟を決め、「私はこうしたい」という内なる声に耳を傾けることが大切だと考えています。

この一瞬のためにアロマテラピーを学んできたのかもしれない
アロマブレンドを学んできて本当に良かった、と思う忘れられない出来事があります。私はバレエが好きで、応援しているバレエダンサーの方がいるのですが、その方の最後の公演を観た感動を形にしたくて調香しました。そしてできた香りが、「Adieu(アデュー:フランス語で“さようなら”)」。トップ、ミドルと来るのがブレンドのセオリーですが、この時は感情の深いところまで一気に届かせたくて、トップは抜きでバニラやベチバーなど濃密な香りを重ねました。最後はブラックスプルースでバランスを取り、甘くほろ苦く、静かな熱情を秘めた、納得する香りができました。そのあとご本人に「Adieu」を贈ったら、直接メッセージが来たんです! バレエという芸術を彼は身体全体で、私は香りで形にしようとしていること、表現の手法は違うけれど、美しいものをつくり出そうという共通の試みに対して「素敵なアイデアだね」とお返事をもらって。言葉も文化も全く違うけれども、憧れのアーティストと心の奥底で理解し合えた気がして、この一瞬のためにブレンドを学んできたのかもしれないと思えるほどでした。

資格は私を守る盾
今後は人事の経験に加えアロマの資格を活かすことで、誰もが心地よく働ける職場づくりにも取り組んでいきたいと考えています。企業の方とお話しする際、AEAJ認定資格はプロフィールの信頼性を高め、自分自身の提案に説得力を持たせてくれます。アロマを趣味に留めず、人に伝えたりビジネスにつなげたいなら体系的な学びが不可欠ですし、学びの質と社会的信用を兼ね備えた資格取得は、次の一歩を踏み出す大きな支えとなっています。

※取材当時の情報です
