自律神経の不調にはアロマがおすすめ。ケア方法を紹介
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「疲れが取れない」「頭痛が頻繁に起こる」「イライラする」……。明確な原因が見当たらないのにそのような体調不良が続いているとしたら、自律神経が影響しているのかもしれません。過剰なストレスや不規則な生活、天候の変化などによって自律神経のバランスが乱れてしまうと、さまざまな不調が起こることがあるのです。
そんなときに試してほしいのがアロマテラピー。精油(エッセンシャルオイル)の香りは、嗅覚を通じて脳の視床下部に届きます。視床下部は、自律神経系をはじめ、免疫系やホルモンに関わる分泌系を司る器官。香りの刺激によって自律神経のバランスを整え、心身を健やかに導くことが期待できます。今回は、アロマを使って、自律神経のバランスを整えるための方法を紹介します。
アロマテラピーが自律神経に与える影響

香りの情報は、嗅覚を通じて脳に直接届きます。まずは自律神経のしくみを理解し、アロマが心身にどんな影響を与えるのかをみていきましょう。
そもそも自律神経とは
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2つから成り立っています。
交感神経は、緊張・集中しているときや、身体を動かしているときに活発に働く神経です。交感神経が優位になると、心拍数や血圧が上がり、血管が収縮して血流が変化するほか、胃腸の働きが抑制されます。
一方、副交感神経は、リラックスしているときや睡眠中に活発に働く神経です。副交感神経が優位になると、血管が拡張して血圧が下がり、呼吸が深く穏やかになります。
これらの神経は無意識のうちに切り替わりながら働き、私たちの健康を維持しています。しかし、どちらか一方が過度に優位な状態が続くと、疲労感や倦怠感、頭痛、めまい、不眠などを引き起こす原因に。
また、交感神経が優位な状態が続く場合、高血圧や糖尿病などのリスクが高まるといわれています。
このような不調を防ぐためには、交感神経と副交感神経のバランスを整えることが大切です。
アロマでONとOFFの切り替えを
毎日仕事や家事に忙しく、常にSNSや動画などの情報にさらされる生活では、交感神経が優位になりがち。そのため、日頃からストレスケアを意識し、オフタイムにはしっかりリラックスして心身を休めることが大切です。
そこで注目されているのがアロマテラピー。ラベンダーやスイートオレンジ、イランイランなど、副交感神経を優位にしてリラックスを促す精油の働きが、さまざまな研究で報告されています。
また、朝や仕事・勉強前など、「やる気を出したい」「集中したい」というときには、グレープフルーツやローズマリーなどの交感神経を優位にする働きが期待できる精油を活用するのもおすすめです。
アロマをうまく取り入れながら、自律神経のバランスを整え、健やかな毎日を目指しましょう。
自律神経の不調におすすめのアロマ
ここでは、「イライラする」「眠れない」など、交感神経優位の状態が続くことによる不調を感じている方におすすめのアロマを紹介します。
心地よい香りが自律神経に働きかけ、心身の緊張をゆるめるサポートをしてくれるかもしれません。自分に合った香りを見つけて、リラックスタイムに取り入れてみましょう。
ラベンダー

ラベンダーの精油は、心を落ち着ける香りとして親しまれており、フレッシュでありながらややフルーティな甘さを持っているのが特徴です。
ラベンダー精油の香りを部屋に香らせることによって、交感神経の働きを抑えたという研究結果が報告されています。
ストレスを感じているときや、緊張をやわらげたいとき、または就寝前に穏やかな時間を過ごしたいときにぴったりのアロマです。
スイートオレンジ

スイートオレンジ精油は、かんきつ系のフレッシュでみずみずしい香りが特徴です。気分を前向きにするだけでなく、心地よいリラックス感をもたらすことがあるといわれています。
就寝前・就寝中にスイートオレンジ精油の香りをかぐことにより、副交感神経活動が優位に増加したという研究結果があります。
寝る前についネガティブなことを考えてしまうとき、眠りが浅くなりがちなときなどに活用してみるとよいでしょう。
イランイラン

イランイランの精油は、華やかで官能的なフローラルの香り。名前の「イランイラン」はフィリピンの言葉で「花の中の花」を意味します。
副交感神経を優位にする作用が期待でき、寝つきがよくなったという研究報告もあることから、ご自宅でのリラックスタイムを甘い香りと共に過ごしたいときに空間にほのかに香らせるとよいでしょう。
日常生活でのアロマの活用法
アロマは、簡単に取り入れられる方法がたくさんあります。ここでは、日常生活に香りをプラスできる活用法を紹介します。
アロマスプレー

アロマスプレーは、空気中や衣類などにシュッと吹きかけるだけで香りを楽しめる便利なアイテムです。
玄関や寝室、リビングなど、用途に合わせて用意しておくと、気分に合わせて手軽にリフレッシュできます。
たとえば、寝室にはリラックスできるラベンダーやベルガモット、玄関にはさわやかな柑橘系の香りを選ぶなどすると、空間ごとに心地よい雰囲気を演出できます。
アロマスプレーについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
「アロマスプレーの作り方|保存方法や注意点も紹介」
アロマロールオン

お好みの精油を植物油で1%以下の濃度に希釈してロールオンボトルに入れれば、携帯に便利なアロマロールオンの出来上がり。手首や指先などにサッと塗れて、外出先でも手軽に香りを楽しめます。
アロマロールオンの作り方は、下記の通りです。
〈準備するもの(10ml容器の場合)〉
- 精油…1~2滴 ※こめかみなど顔に使用する場合は1滴まで
- 植物油(オリーブ油、スイートアーモンド油など)…10ml
- あると便利な用具…耐熱ガラスビーカー、耐熱ガラス棒、ロールオンボトル、ラベル
〈作り方〉
- ビーカーにまず植物油を入れ、精油を加える
- ガラス棒でよく混ぜ合わせた後、ロールオンボトルに移し、作製日を記載したラベルを貼る
- 保存料が含まれていないため、1カ月以内に使い切る
精油は原液のまま肌につけることができないため、必ず植物油で希釈してから使用することが大切です。オイルベースなので、乾燥が気になる部分の保湿にも役立ちます。
アロマバス

アロマバスは、心地よいひとときを過ごすのにおすすめの方法です。精油1~5滴を5mlほどの無水エタノールに溶かして浴槽のお湯に加えるだけで、簡単に楽しめます。
リラックスしたいときにはラベンダー、気分を明るくしたいときはスイートオレンジなど、目的に合わせて香りを選ぶことで、より豊かな時間を過ごせるでしょう。
※精油は水に溶けにくいため、無水エタノールや植物油で希釈してから使用しましょう。
アロマバスについて、詳しくはこちらをご覧ください。
「お風呂でアロマを楽しもう!アロマバスの方法や効果、注意点も紹介」
アロマテラピートリートメント

アロマテラピートリートメントで、心と身体をリラックスさせてみましょう。ホホバ油などの植物油小さじ1に精油1滴を加えたトリートメントオイルを両手で温めてから肌に塗布し、血流を促すように全身をやさしくなでる方法です。
精油の香りとトリートメントの相乗効果が期待できるため、より深くリラックスしたいときや、冷えやむくみが気になるときにぴったり。入浴後の保湿ケアを兼ねて行えば、手間も時間もかからず簡単に取り入れられます。目的に合わせて 精油や植物油の種類を変えることで、筋肉の緊張を和らげたり、ヘッドマッサージをしたりと、楽しみ方が広がります。
また、アロマハンドトリートメントをすることで、副交感神経が優位に働き、自律神経のバランスを整える作用がみられたという研究結果も報告されています。家族のコミュニケーションのひとつとして、アロマハンドトリートメントを取り入れてみるのもよいでしょう。
出典:AEAJ「アロマハンドトリートメントが心身に与える影響」(2016)
まとめ
アロマは、自律神経のバランスを整えるのに役立ちます。特に、ラベンダー、イランイランの精油は、活動モードからリラックスモードに切り替え、心身を休めたいときにおすすめ。スイートオレンジは、元気を出したいとき、心を落ち着けたいとき、どちらにも使えますよ。
精油は、アロマスプレーやアロマロールオン、アロマバスなど、さまざまな方法で手軽に活用できます。シーンに合わせて使い分けることで、より効果的に香りの力を実感できるでしょう。
香りの力についてもっと知りたい方は「アロマテラピー検定」に挑戦してみるのもおすすめです。精油の選び方や活用方法を学ぶことで、アロマの楽しみ方がさらに広がります。
自分に合った香りを見つけ、健康管理に取り入れてみてはいかがでしょうか?
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