虫よけにおすすめのアロマ|活用法と注意点
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夏が近づくと気になるのが、蚊やダニなどの虫たち。市販の虫よけスプレーは手軽で便利ですが、「小さな子どもがいるから成分が心配」「もう少し自然なものを使いたい」と感じている方も多いのではないでしょうか。
そんなときにぴったりなのが、天然の精油を活用した虫よけです。今回は、虫よけにおすすめのアロマの種類や活用法、使う際の注意点について解説します。
虫よけにおすすめのアロマ

ここでは、虫が気になるシーンで活用されることの多い精油(エッセンシャルオイル)についてご紹介します。
蚊の対策におすすめのアロマ
夏に悩まされることが多い蚊には、「シトロネラ」と「レモングラス」の精油がおすすめです。
- シトロネラ
イネ科の植物で、インドネシアやスリランカなどで栽培され、古くから蚊帳に編み込んで使われるなど、虫よけとして使われてきた歴史があります。
精油はややハーバル感のあるレモンのような香りが特徴で、蚊が嫌うとされるシトロネラールという芳香成分を多く含みます。皮膚刺激があるため、使用時は注意が必要です。 - レモングラス
主にインドなどで栽培されるイネ科の植物です。精油はレモンとジンジャーを合わせたような、力強くさわやかな香りが特徴。シトロネラ同様に、古くから蚊が嫌う香りとして知られてきました。
ダニ対策におすすめのアロマ
梅雨から夏にかけて急増するといわれているダニには、「シトロネラ」「ペパーミント」「ユーカリ」の精油が頼りになります。
- シトロネラ
精油はレモンのようなさわやかな香り。虫よけとして古くから使われてきた歴史があります。 - ペパーミント
シソ科のハーブで、精油は清涼感のあるクールな香り。食品や医薬品、化粧品など幅広い用途で活用されています。 - ユーカリ
コアラの主食としても知られるフトモモ科の植物から抽出される精油で、スッとするシャープな香りが特徴です。
シトロネラ、ペパーミント、ユーカリの精油を使った実験では、精油を使わなかった場合よりもダニを寄せつけにくい結果になったことが報告されています。
※いずれの精油も皮膚刺激があるため、肌への使用は控えましょう。
ゴキブリ対策におすすめのアロマ
見かけるだけでも不快なゴキブリには、「ベチバー」と「レモングラス」の精油が心強い味方になってくれます。
- ベチバー
インドネシアやスリランカで栽培されるイネ科の植物で、根から採れる精油は土を思わせるウッディ系の落ち着いた香りがします。 - レモングラス
インド原産のイネ科のハーブで、葉から採れる精油はレモンとジンジャーを混ぜたような鮮烈で力強い香り。
これらの精油は、ゴキブリに対する忌避作用が研究で確認されています。
コバエ対策におすすめのアロマ
コバエ対策には、「ヒノキ」の精油が役立ちます。古くから建材として重宝されてきたヒノキの枝や葉から採れる精油は落ち着いた気品のある香りで、コバエに対する忌避作用が研究で確認されています。
トコジラミ対策におすすめのアロマ
旅行先などでトラブルになりやすいトコジラミには、「オレガノ」の精油を使うとよいでしょう。オレガノは、やや苦みのあるスパイシーな香りが特徴で、料理用ハーブとしても知られています。
研究では、濃度40%のオレガノ精油が、DEET(合成防虫剤)と同様の忌避作用があったことが報告されています。肌につかないよう注意し、トコジラミが潜みやすい寝具などに使用するのがおすすめです。
以上のように、虫によっておすすめの精油は異なります。避けたい虫に合わせて精油を選ぶとよいでしょう。
虫よけに役立つアロマ活用法
虫よけにアロマを取り入れるさまざまな方法と、おすすめのシーンについてご紹介します。暮らしの中に手軽に取り入れられるものばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。
アロマスプレー

虫よけにおすすめの精油を使ってアロマスプレーを手作りすれば、蚊やダニが気になるシーンで活用できます。
おすすめの精油は、蚊よけにはレモングラスやシトロネラ、ダニ対策にはシトロネラやペパーミントです。
アウトドアや網戸まわり、寝具のリネンスプレーとして活用すると便利です。
簡単に作れる虫よけにおすすめなアロマスプレーの作り方を紹介します。
〈準備するもの〉(30ml容器)
- 精油…合計6滴
- 無水エタノール…5ml
- 精製水(または水)…25ml
- 遮光性のスプレーボトル(※溶けるおそれがあるためプラスチック製は不可。ガラス製かアルコールに対応した容器を使用)
- あると便利な道具…耐熱ガラスビーカー、耐熱ガラス棒、ラベル
〈作り方〉
- ビーカーに無水エタノールを入れる。
- 精油を加える。
- ガラス棒でよく混ぜ合わせる。
- 精製水または水を加え、再びガラス棒でよく混ぜ合わせる。
- 4.をスプレーボトルに移す。
- ラベルに作製日と精油名を書いてスプレーボトルに貼る。
※容器をよく振ってから使用しましょう。
※保存料が入っていないため、1~2週間以内に使い切りましょう。
アロマリボン
蚊の対策には、アロマリボンを使ってみましょう。
リボンにレモングラスやシトロネラの精油を数滴垂らし、バッグや帽子、衣服に結びつけるだけでOK。お子さまにも使いやすい方法です。
また、シールに精油を垂らして「アロマシール」として使えば、衣服の内側やベルト裏、リュックなどに貼って活用できます。
コットン

ゴキブリが気になる場所には、レモングラスやベチバーの精油を染み込ませたコットンやアロマストーンを置いてみましょう。
キッチンの隅やゴミ箱周辺など、ゴキブリが出やすい場所に設置し、香りが薄くなってきたら精油を追加してください。
サシェ

精油を使ったサシェは、ダニ対策にうってつけです。
コットンやウッドチップに、ペパーミントやシトロネラの精油を染み込ませ、小さな布袋に入れるだけで簡単に作れます。
クローゼットやタンス、枕元などに置くと心地よい香りとともに虫よけ対策にもなります。
アロマディフューザー

お部屋全体の虫よけには、アロマディフューザーを活用するのもひとつの方法です。
蚊やコバエが気になるときは、レモングラスやシトロネラ、ヒノキの精油がおすすめ。
虫よけにアロマを使う際の注意点
精油は植物から抽出した天然成分であるため、虫よけとして使う際も安心感があると感じている方も多いでしょう。
しかし、使い方を誤ると肌トラブルや事故につながることもあるため、使用時には以下の注意点を守ることが大切です。
精油の原液が肌につかないよう気を付ける
精油は、植物の香り成分を高濃度に含んでいます。そのため、原液のまま肌に使用すると刺激となる可能性があります。
肌につける場合は、必ず植物油や無水エタノールなどで希釈してから使うのが基本です。
※AEAJでは、肌に直接塗布する場合の濃度を1%以下(フェイスの場合は0.5%以下)で推奨しています。
万が一、精油の原液が皮膚についてしまった場合はこすらず、すぐに大量の水でやさしく洗い流しましょう。
火気に注意する
精油には引火性のある成分が含まれています。そのため、アロマスプレーやディフューザーなどを使う際は、必ず火のそばを避けましょう。
特にキッチンやガスコンロ付近など、火を扱う場所での使用や作製は危険です。アロマスプレーなどを作る際は火気のない場所で行い、安全に配慮しましょう。
また、使用後もスプレーボトルなどを火の近くに置いたままにしないよう、保管場所にも注意が必要です。
3歳児未満の乳幼児には使い方に注意する
AEAJでは、3歳児未満の乳幼児に対しては芳香浴以外のアロマの使用は控えるよう推奨しています。
そのため、肌に直接触れるような使い方は避け、香りを間接的に楽しむ方法を選びましょう。
具体的には、以下のような方法がおすすめです。
- ベランダなど屋外空間にアロマを香らせる
- 衣服やバッグの外側にアロマスプレーを吹きかける(肌に触れない部分に)
なお、芳香浴であっても使用する精油の量は大人の半分以下にし、必ず低濃度で使用することが大切です。
また、誤飲や誤用のリスクを防ぐために、精油やアロマスプレーはお子さまの手の届かない場所でしっかりと保管しましょう。
まとめ
虫よけ対策として、天然の香りである精油を活用する方法は、環境へのやさしさからも注目されています。
シトロネラやオレガノ、レモングラスなど、虫の種類に応じて活用できる精油はさまざま。アロマスプレーやディフューザー、サシェなど、シーンに合わせて使い分けられるのも魅力です。
ただし、精油の濃度や使い方には注意が必要で、特に小さなお子さまがいるご家庭では慎重に扱う必要があります。
アロマについてもっと深く知りたい方は、「アロマテラピー検定」で学んでみませんか。基礎から体系的に学べるので、日常のセルフケアや家族の健康管理にも役立ちますよ。
この機会に、アロマのある暮らしを始めてみましょう。
【出典】
Lee SH, et al. (2015) Effects of essential oil from Hinoki cypress, Chamaecyparis obtusa, on physiology and behavior of flies. PLoS One 10(12):e0143450.Mona S, et al. (2018) Chemical Composition and Repellency of Origanum vulgare Essential Oil against Cimexlectularius under Laboratory Conditions. Journal of Arthropod-Borne Diseases 12(4):387–397.
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