爆発させない・溜め込まない、怒りのセルフコントロール術
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人間は感情で動く動物ですが、なかでも「怒り」という感情に振り回されるのは辛いもの。カッとなって怒りを爆発させたり、後々まで溜め込んだりしないための、怒りのセルフコントロール術を知っておきましょう。感情の整理に効果が期待されるアロマについても、併せて紹介します。
怒りの感情は2 段階。「攻撃的な怒り」から「思い出し怒り」へ

怒りの第1段階は、カッとなった瞬間に生じる感情です。この感情に支配されないためには、一度立ち止まり、冷静になることが重要。怒りのままに行動すると、小さな火種が広がり、後悔することになりかねません。立ち止まって冷静になるためには、「その場しのぎ」の策で乗り切り、感情をリセットしましょう。第2段階では、怒りは徐々に収まり、冷静さを取り戻し始めます。しかし、ネガティブな感情に固執すると「思い出し怒り」となり、感情の整理が難しくなります。この段階では、怒りを手放し意識的に気持ちを切り替えることが大切です。
【怒りの第1段階】怒りの爆発には「その場しのぎ」が肝心

対処法1 「それもそうだね」とひと呼吸
「売り言葉に買い言葉」というように、押されれば押し返そうとするのが感情というもの。相手が強く出ると、つい負けじと応戦してしまいます。言い争いになりそうなときは、相手の主張に対して「それもそうだね」とひと呼吸置いてみて。反論せず、自分の主張も否定しない「引き分け」の状態に持ち込めば、たかぶった感情を落ち着かせることができます。冷静な対応が、無用な衝突を防ぎ、よりよい関係を築く助けとなるでしょう。

対処法2 怒りを実況中継する
怒りでカッとなったときは、自分や相手の状態を心の中で実況中継してみましょう。「さあ、今、私は怒り始めました。いったい何がそんなに気に入らないのでしょうか」と言葉にしてみることで、現状を客観視できます。そうすることで次第に冷静さを取り戻し、怒りと距離をとることができるはず。また、実況中継することで、自分が置かれた状況を笑いに変えることも可能に。「よく考えてみれば、これは笑える」と思えれば気持ちが軽くなり、怒りのテンションも一気に下がるでしょう。
【怒りの第1段階のためのおすすめアロマレシピ】冷静さを取り戻し、明るい気持ちになる香り

怒りの第1段階では「その場しのぎ」が重要になるため、一瞬で気持ちを変える香りの力を借りるのもよい方法。副交感神経を優位にするといわれる、リラックス効果のある精油を選び、お守りとして持ち歩くだけでも気持ちが落ち着きます。
おすすめアロマレシピ
怒りの感情を瞬時に洗い流してくれそうな、ミントのフレッシュな香り。ラベンダーは心を落ち着かせ、冷静さを取り戻す効果が期待できます。柑橘系の爽やかさは気分転換に最適。
〈アロマレシピ〉
- レモン…3
- ペパーミント…2
- ライム…2
- ラベンダー…2
- スペアミント…1
【怒りの第2段階】思い出し怒りは「気持ちの整理」で対処を

対処法1 筆記法で気持ちを整理する
起床時間や食事内容、どんな仕事をしたのか、そのときの気分についてなど、ノートに一日の行動と気分を細かく書き留めてみて。1週間記録したあとにチェックすると、自身の機嫌や不機嫌の傾向が見えてきます。パターンがわかったら、快適だと感じる行動を増やし、ストレス軽減できる生活を目指せます。怒りを感じた経験があったとしても、書き記すことで客観的に自分を見つめ直し、感情を制御する力が身につくように。

対処法2 上書きして嫌なことを忘れる
人間の記憶は消滅するのではなく、新しい情報を上書きすることで、過去の嫌な記憶を引き出しにくくすることがわかっています。つまり、思い出したくない嫌なことがあるのなら、その上に新しい経験を重ねることで、古い記憶はよみがえりづらくなるのです。ただし、不愉快な思いをした相手のことを「今頃どうしているんだろう」などと思い出してしまうと、また記憶を引き出す経路ができてしまうので、要注意。
【怒りの第2段階のためのおすすめアロマレシピ】ありのままの自分をやさしく包む香り

怒りの第2段階では、感情を整理し、穏やかな気持ちを取り戻すことが重要。心を癒やし、安心感を与えてくれる香りを取り入れてみて。リラックス効果の高い精油を選び、日常生活の中で活用することで、思い出し怒りを和らげることができます。
おすすめアロマレシピ
ローズとネロリは、思わず深呼吸したくなるほど多幸感あふれる香り。心を静め、幸せいっぱいの笑顔をもたらしてくれます。今の自分に自信をもたせてくれるお守り的なブレンドに。
〈アロマレシピ〉
- ローズ(アブソリュート)…3
- ネロリ…2
- ゼラニウム…2
- フランキンセンス…2
- マンダリン…1
〈論文紹介〉ユズ精油の香りが心理的ストレスを軽減する可能性
〈実験方法〉20名の女性を対象に、10分間ユズ精油の香りを吸入する群と無臭の水だけを吸入する群に分け、吸入前後の唾液CgA(心理的ストレス指標)とPOMS(気分状態の指標)を比較した。
〈結果〉ユズ精油の香りを10分間吸入していた群において、唾液CgAの値の有意な減少とPOMSにおける次の4つの尺度(緊張-不安、抑うつ-落胆、怒り-敵意、および混乱)のスコア減少が確認された。
〈出典〉Matsumoto T, et al. (2014) Effects of Olfactory Stimulation from the Fragrance of the Japanese Citrus Fruit Yuzu(Citrus junos Sieb. ex Tanaka)on Mood States and Salivary Chromogranin A as an Endocrinologic Stress Marker. J Altern Complement Med 20(6): 500–506.
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