心理学から学ぶ 、「ほめる」の効果とテクニック

ほめられると誰でもうれしいものですが、実はその喜びは、人の可能性や目標に大きな影響を与え、心にポジティブな力をもたらしています。さらに、人にほめられるだけでなく、自分をほめることも効果的であることが研究で明らかになっています。心理学の視点から実践的なアプローチ方法を探りながら、香りの活用についても考えます。

監修
大谷佳子
監修
大谷佳子

おおたに・よしこ/昭和大学保健医療学部講師。医療、福祉、教育の現場の援助職を対象にコミュニケーション研修などを担当。

「ほめる」と心はどう動く?承認がもたらすポジティブな影響

心理学において「ほめる」とは、相手やその行動を肯定的に認めること。つまり「承認」のひとつの方法とされています。承認される経験が積み重なることで「自己肯定感」が高まり、周囲に認められているという実感が「自尊感情」を育みます。また、受け取った好意を返したくなるという「好意の返報性」によって、ほめる行為が相手と自分との間で行き交い、温かな共感が育まれます。それは、前向きな行動を後押しするエンパワーメントに。さらに人をほめることで「自分自身がポジティブになれる」という効果も期待できます。

上手にほめるための仕組みは、「 気づき」と「 伝達 」の2ステップ

ほめ上手になるには段階があります。まず、相手を細やかに観察することから生まれる「気づき」と、それを好意とともに相手に伝える「伝達」が重要です。「わざわざ言うほどではない」「いまさら言っても」と思いがちですが、「気づき」は伝えてこそ意味を持ちます。日ごろから相手を好意的に観察する習慣が身につくと、自然とほめるポイントを見つけやすくなります。「気づき」と「伝達」がセットになることで初めて、ほめられた相手は承認された喜びを感じられるのです。

心理学のキーワードで学ぶ、上手にほめるための4つの対処法

ウインザー効果 第三者から誉め言葉を伝える

「〇〇さんがあなたの親切を喜んでいた」といった第三者からの評価は、ほめ言葉としてより信頼性が高いとされています。これは「ウインザー効果」と呼ばれ、発言だけでなく、その人の働きによって誰かが「うれしそうにしていた」「表情が明るくなった」など、ポジティブな影響を与えている様子を伝えるだけでも同様の効果があります。

I(アイ)メッセージ 私を主語にしてほめる

「いつも素敵な本を紹介してくれて、私はとても感謝しています」というように、「私」を主語にするIメッセージは、相手に好意的感想として伝わるため、受け入れられやすくなります。反対に、「あなたはすごいですね」といった「あなた」が主語になるYouメッセージはストレートな表現であるため、相手によっては素直に受け止められない場合も。

傾聴 相手の話に関心を持って耳を傾ける

なんでもないような話でも熱心に聞いてくれる人には、誰しも好意を持ちます。それは、その姿勢から「あなたを大切に思っている」という気持ちが伝わってくるから。こうした働きかけは「傾聴」と呼ばれ、心理学上の立派なスキル。ほめるのが難しい場面では、相手の話に耳を傾けることで、メッセージを伝えてみましょう。

質問 相手に関心を寄せて、アドバイスを求める

年上や目上の人には、「素晴らしい」「さすがです」といった直接的な表現は軽々しく聞こえてしまうことも。そんなときは、「どうしたらそんな発想ができるのですか?」「こんなに素敵なお庭を作るための、アドバイスをいただけますか?」など、相手に関心を寄せる「質問」をすることで、自然にほめることができます。

自分をほめる気持ちを意識して、「セルフコンパッション」を高める

人をほめる気持ちになれないときは、まず自分に対して優しい気持ちを向けることが大切。自分をあるがままに受け入れ慈しむ「セルフコンパッション」は、心理学の分野でも注目されています。セルフコンパッションを高めるには、自分にポジティブな言葉をかけることが効果的。「お疲れさま、よくやったね」「少しゆっくりしようね」など、声に出したり文字にしたりすることで、自分を承認する気持ちを聴覚や視覚からも実感できます。また、好きな香りを取り入れたセルフトリートメントや、ちょっとした贅沢をするなど、自分にご褒美をあげることも有効です。

「セルフコンパッション」を高めるための、おすすめアロマレシピ

気持ちを穏やかに整えるための香り

頑張った自分をそのまま肯定的に受け入れられるようなベルガモットがトップに香り、ゼラニウムとスイートマージョラムが、心と身体のバランスを取り戻してくれます。全体を甘いベンゾインの香りでまとめました。

〈アロマレシピ〉

  • ベルガモット…8
  • ゼラニウム…4
  • スイートマージョラム…2
  • ベンゾイン(レジノイド)…2

セルフトリートメントには心身を包み込む香りを

明るさと柔らかさを併せ持つネロリで、温かな手に包み込まれるようなイメージに。疲れたときに、ほっと一息つけるようなフランキンセンスとラベンダーが心にゆとりをもたらし、深い呼吸とリラックスを誘います。

〈アロマレシピ〉

  • ネロリ
  • フランキンセンス
  • ラベンダー
レシピ製作
若林なつみ
レシピ製作
若林なつみ

わかばやし・なつみ/AEAJ認定アロマテラピーインストラクター、アロマセラピスト、アロマブレンドデザイナー。自然療法を中心としたスクール Rosmarin(ロスマリン)を開校。

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